風変わりなシュガー
「あんた変わってるからさ、興味あるんだよ。一体何しにここに来たんだ?」
ストローを横へ退けてシュガーが私を覗き込む。顔が赤面するのを感じた。このあけすけな視線は本当、なんとかならないかな!
私は無意識にカウンターの中にある砂糖壷へと手を伸ばす。
欲しい、甘さが。口中を満たし、頭に突き刺さるようなあの甘さが。
「・・・だから、お手伝いです。夏の間の」
「ふーん。あの店長さんの親戚かなんか?」
「違いますけど」
「ここ、別に人手は要らなさそうだけど?」
「忙しい時もありますよ」
シュガー男があれこれ話しかけてくる。私はスプーンを取り出してそっと砂糖を掬う。カウンターの上は高くなっているので、向こう側に座る客には中にいる人間の手許は見えなくなっている。だけど、シュガー男はパッと身を乗り出して、私が口へと突っ込んだスプーンの中身をガン見した。
「え、あんた砂糖食ってんの!?」
・・・オー・マイ・ガー。バレた。一瞬目を閉じたけれど、ふんとそっぽをむいてやる。別にこの人に咎められることではないんだし。
だけど私が無視していると、ヤツは前で大仰に騒ぎだした。
「砂糖直接食って大丈夫か!?何か飲み物を飲んでるわけじゃねーし・・・うわー、マジで?しかも結構な量じゃなかった?ってかもしかして、あの時も食べるための砂糖探してたわけ?」
シュガーの隣に座る友達も、ここに来て何度目かの呆れた顔をして私をじっと見る。ぎゃあぎゃあと騒ぐシュガーの横で、彼は静かな声で言った。
「それ、あんまりいい習慣じゃないと思う」
「・・・何か問題ですか」