風変わりなシュガー
だけど言い方を間違えた。
お砂糖はありますか、そう聞くべきだったのだ。それなのに、深く考えもせずに『空から降ってきた』言葉をそのまま言ってしまったら、あんな変なことになった。
「あ、その砂糖ね。シュガーって言うから・・・」
男は苦笑した。
夏の太陽に焼かれて黒く光る顔をほころばせて、ちょっと困った顔をして。彼は座ったままでの作業を再開しながら、あっさりと首を振る。
「ないよ、そんなもの。食べ物出してるわけじゃないし」
見たら判るだろう、そんなニュアンスが感じられて、私はちょっとムッとする。
だけどすぐに思いなおした。仕方ないか、確かに食べ物を売ってる店ではないのだから。
「そうですか。お邪魔しました」
後ろは振り返らずに歩きだす。
昼間の太陽は真上でギラギラと光り、肌をどんどん焼いていく。ちりちりと焼ける音がするようだった。
私はビーチサンダルで焼けそうに熱い砂の上をずんずんと歩きながら、ふと考えて首を捻った。
『ここにいるけど?』
あれって、一体どういう返答なわけ?