風変わりなシュガー
大声でシュガーが叫んだ。
「そりゃ問題だろ!黒糖とかチョコレート食うのとはわけが違うだろ~!甘くないの?」
「勿論甘いですよ」
何いってんだこの男、そう顔に大きく書いてやりたい。砂糖なんだから甘いに決まっている。私がぶすっとして言い返すと、シュガーは大きく仰け反った。
「じゃやめろよ!虫歯になるぞ!」
「あなたに関係ないです。それにそんなこといったらそちらが今飲んでるコーラだって、砂糖の塊ですよ」
「いやそりゃないけどさ!・・・ほんと変な人だな~あんた」
うるせー。私が心の中で目の前の男を罵倒しだした時、友達はケータイを取り出して触っていた。そして急に振り返って、ばしっとシュガーの腕を叩く。
「わり、オレもう行かなきゃ。迎えの時間がやばいわ」
「あ、幼稚園?」
そう言って頷くと、シュガー男はコーラを一気に飲み始める。なんとこの友達には子供までいるのか!と驚いたままで、私は慌てて会計をはじめた。
お金は友達が全部出した。二人は椅子から立ち上がって、じゃあなーと入口へと歩いていく。
ああ、良かった、帰ってくれるんだ。私はホッとして二人を見送りに出る。これ以上砂糖のこととかで弄られたら爆発してしまうかもだった、そう思ったから彼らの後姿を見ながら肩から力を抜いていた。
「ありがとうございましたー」
一応、礼は言おう。色々むかついたけど、客は客だ。