風変わりなシュガー
最初は一々ぶーぶー言っていた私も、5回目くらいでようやく慣れた。
あのボロくて動いているのが魔法のような大きなアメ車が駐車場に入ってきても、動揺したりはしなくなった。だって彼らは多いときで週に3日は来ていたのだ。
つれてくる友達は男の時もあれば女の時もある。女性同伴の時には彼らはデッキに座り、日光浴をしながら風を楽しみつつベタベタしているからこっちも近づかない。だけど男の人を連れてくるときには我が物顔でカウンターを占拠してくるので、私も仕方なく相手をする。
そりゃやっぱりなれるよね。
シュガーのその行動で、私はこの夏、市川さん以外にもよく話す人が出来たわけだから。
あまりにも頻繁に会うようになったので、シュガーの口癖だとか、ちょっとした体に出る癖なんかにも気がつくようになってしまった。
例えばこれ。シュガーは考えごとをする時に、頭に片手を突っ込んで右斜め上を見上げる。最初は店の天井に蜘蛛でもいたのかと私も見上げてみたりしたけれど、どうやらそうではないと気がついた。
それから、シュガーはよく、「全然大丈夫」って言う。にかっと笑って、全然だいじょーぶって軽い言い方で。その声はいつでも強くて明るくて、大丈夫じゃないでしょ!って突っ込みたくなるようなシリアスな場面であっても、大丈夫なのかも、ってこちらに思わせる力を持っていた。
事故った?全然大丈夫だよ、誰も死んでないんだろ?とか。
全然大丈夫だぜ~ちょっと睡眠不足だしガソリンもないけど、山走るなら参加する!とか。