風変わりなシュガー
当然私はバランスを崩して、そのまま海へと落ちてしまった。
もう大パニックだったその時を思い出す。
夕日に見惚れていたら後ろから海に落とされたんだよ!!コンクリートの防波堤から、冷たい海に!!死ぬかと思ったものだった。
その時はパニックになりながらも海の水の冷たさにハッとして冷静になり、何とか水面に顔を出したらシュガーがゲラゲラと笑っていたのだった。
全然大丈夫だろ~?メグはぼーっとしすぎだ!って言いながら。・・・なんてヤローだ。
お陰で人生初の、服を着たままの海水浴を経験してしまった。その時はスニーカーを脱いで自転車のところにおいていたから裸足で助かったのだって思っている。あれで靴を履いていたらきっと沈んでたよ、私。
勿論私は怒りまくったけれど、どこかの女の子の香水がうつっているシャツをはためかせながら、シュガーは変わらずゲラゲラ笑っているだけだった。溺れなかっただろ?って。泳げるのは知ってるからさ、って。
前回がそれだったので、警戒するのは当然だ。
唸りながら睨みつけ、私はシュガーが近づいてくるのを見ていた。
「睨むな睨むな。逆光になってて余計に怖い顔だぜ~」
「暇?暇なの漁師さんって?どうして私に構うのよー!」
言葉で噛み付く私に向かって、ヤツは手をヒラヒラと振る。
「お前何もしらねーんだなー。漁をするのは早朝だよ。朝の3時から。夕方は好きなことをやる時間だ」
「じゃあどこかの女の子とイチャイチャしてきたらいいでしょうー!」
「お、妬いてんの?」
「どうしてそうなる!」