風変わりなシュガー


「日焼けしてむけてくるんだ。夏前は大変で、むけるのももう全身。元々は色白で肌も強くなくて、すぐにむけるんだ。だからいつも肌全体が粉をふいたみたいな状態なわけ。だから―――――」

 シュガーなのか。

 私はちょっと頷いた。肌の表面が白く吹くから、それはわかった。だけどどうしてそれが砂糖なんだろう。まったく謎なあだ名だ。

 シュガーはほら、と言う。

「小学生って変なあだ名のつけ方するだろ?それだよ。悪ノリで、何か格好良さそうな英語にしたんだろう。オレは気に入ってるけどねー」

 ふうむ、なるほど。シュガーって響きが格好いいかは置いておいて、そういう感覚は十分に判る。

「で、あなたは好きなことだけをする」

「厳密にはそうじゃないけど、まあそうかな。周りに呆れられても、壊れるまであの車に乗る。それが好きだし、あの車は格好いい」

「廃車寸前のアメ車」

「そんで俺は、いろんな女の子と楽しいことをする」

「不特定多数と」

「気に入ったヤツと話すし、気に入らないヤツには見向きもしない」

「・・・それで仕事になってるの、ちゃんと?」

「それに」

 シュガーが振り向いた。もうほとんど沈みかけた夕日の赤色に染まった彼の顔の半分が、笑っているのが見えた。

「どれだけつれなくても、メグにもちょっかいをかける」

 私は黙っていた。答えようがなかったからだ。


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