風変わりなシュガー
シュガーがそう聞くので、私は頷いた。それからリュックのパッケージを開けてスティックシュガーを取り出す。美味しいビールには美味しい砂糖、そう思ったのだ。・・・というか、実際は無意識だった。疲れていたので甘いものが欲しかったのだろう。
だけどそれは、出した途端にあっという間にシュガーにさらわれてしまった。
「あっ!!」
私の非難の視線にもケラケラと笑って、シュガーは砂糖を海へと放り投げる。
「ちょっと!何するのー!!」
「だから、砂糖食うのは普通じゃないって」
だから何なのだ!私はむかついて、ビール瓶でヤツを殴るべきかと一瞬真剣に考える。だけどその間にも私からささっと距離を取って、腰に手をあてたシュガーが太陽をバックにこちらを見下ろしながら、偉そうに言った。
「何なんだよそれ。子供のころからの癖かなんか?お前の親はおやつ代わりに砂糖出してたのか?」
「そんなわけないでしょ!」
もう!私は気を静めようとビールを呷るように飲む。炭酸がしみたけれど、有難いことに一瞬怒りが静まった。この人相手に怒り狂ったって、自分が疲れるだけ、それは今までで十分に判っている。
「ここ1年くらいのことよ!だからそんなに大量に摂ってるわけじゃない・・・」
「ここ1年?何があったわけ?」
シュガーが立ったままでビールを飲んだ。ああー、うめーな!夏はやっぱりビールだな!って大声で続ける。まったく、うるさい男だ。
「色々あって・・・」
ふーん、そう言いながらビールを飲んで、シュガーが隣に座った。