風変わりなシュガー


 女の子といちゃいちゃするのが好きなだけのシュガーは、その内殺されるかもな、って。その時の私はぎょっとして仰け反ったものだった。だって殺されるって、何!?

 するとその友達と市川さんが代わる代わる解説してくれたのだ。

 シュガーはそのつもりでも、女の子の方が本気になることはよくあるんじゃないかって。シュガーは軽いけれども目の前の人には真剣に対応している。それはその時だけの真剣さだけど、嘘ではないから女の子は信じ込むんだ。私がシュガーの彼女ってね。でも実際はそうじゃない。シュガーは女の子の家を出た足で漁へいって、戻ってくるときには別の女の子の肩を抱いている。それに気がつかないんだよ、って。

 で、気がついた時にはもうどうしようもなくなっていて感情を持て余し、怒りをシュガーに向けることもある、って。だからあいつ、その内殺されるかもな、って。

『大抵はシュガーのことを理解して仕方ないって諦める子が多いけど、中にはそう出来ない子もいる。あいつは好かれるけど、同じだけ恨みも受けてると思うよー』

 私はその時、やっぱりシュガー男は最低な男ですね、とコメントしたと思う。

 だけど何となく、今では判ってきたのだ。シュガーはいい人間ではないかもしれないが、確かに嘘をつかない。女の子は色々彼に聞くことで立場を理解して、自分を守らなきゃならないのではないかって。

 シュガーは褒められないけれど、女の子もしっかりしなくちゃって思うのだ。

 この人と付き合うのなら。

「で、どうしたの、結局?」

 私の問いかけにシュガーはだるそうな顔のままで、ダラダラ~っと言った。


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