あの日の桜はⅡ【大幅修正中】
「はい、はぁ、もう、千景なんて知りません!」
プイと顔を背け、もう一度、浮き輪に入りなおそうとした。
が、
「もうーそんな拗ねないでよー」
「ひゃっ!?」
いきなり、お腹あたりに腕が回り、持ち上げられた。
「ちょっ、千景!?」
あまりに近い距離に、どんどんと頬が赤くなっていくのが分かった。
ドクドクと、今にもお互いの鼓動が聞こえてしまいそうな、また生身だから感じるその、緊張感というか…。
そう、慌てている私をよそにそのまま私を浮き輪の上に乗せた千景は笑った。
「まぁまぁ、落ち着いて。今度は俺が運んであげるからそれで許してよー」
そういうと、そのまま、紐を引っ張って岸へと向かいだした。