あの日の桜はⅡ【大幅修正中】

「そうか、じゃあ席戻ってろ」


「いやいや、悪いですよ。自分で払えますって」

 財布から私の分のお金も出してくれている紘を私は止め、自分の小銭入れをパーカーのポケットから出そうとした。

 が、それを止めるように紘の手が私の手を押さえた。

「いいって、夏くらいかっこつけさせろよ」

 少し、口元を緩めながら、笑う紘は少しだけ見入ってしまった。

 
 ・・・そんなことしなくたって、いつもかっこいいのに。


 私は、おごられてばっかりだなぁ…と葵の事だったり、千景の事だったりを思い出した。

「・・・じゃあ、お言葉に甘えます」

 少しだけ、間をあけ、私はそう頷いた。

 みんなは、やっぱり優しい。

 色んな意味で。
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