あの日の桜はⅡ【大幅修正中】
「うーん、男はオオカミって言うでしょ?」
そう口角を上げる葵は酒の力あってか、いつもより妖艶に見えて。
不覚にも頬に熱を持つのが自分でもわかった。
誰も部屋の隅っこでこんなことが行われているなんて気づいていない様子。
「葵、放してください」
そういっても、ん?とまた妖艶に笑うだけだ。
「ねぇ、莉子ちゃん」
どんどん葵との距離が短くなる。
「ちょっ」
押し返そうにもできない私に葵の口は私の耳元まで寄せられていた。
そして、
「君と海里さんの関係って何なの?」
その瞬間、ハッと息を飲んだ。
声色は甘いはずなのに、囁かれた言葉に私は固まってしまった。
視線が葵と絡み合う。