あの日の桜はⅡ【大幅修正中】

 視線が葵と絡み合う。



 こうなる気がしていた自分がいて。

 固まったのも一瞬、こわばった顔の筋肉も緩んだ。


 そして、自然に笑顔が浮かんでいた。

「あの夜、運ばれた患者と医者…それ以外になんて表せます?」

 
 そう、みつめかえした 。


 相手にはきっとばれている。

 私と海里の間にそれ以上の関係があることを。


 だけど、それを言うか言わないかなんて私の匙加減だ。

  
 きっと伝わったに違いない。

 “いうつもりはない”という意思は。

 
 間違ったことは言っていない。

 私の海里をつなぐ関係なんて言い表さそうと思えば何通りでもなる。
 
 医者と患者、知人、道端ですれ違った男と女のように。

 関係を聞かれた、だから私はその一つを言っただけ。

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