あの日の桜はⅡ【大幅修正中】

 それに本当の王子様っているのは俺みたいなんじゃなくて紘みたいなのを言うのだ。

 莉子ちゃんが白雪姫だとするならば俺は毒りんごだな、といつかの劇を思いだす。

 別に傷つけたいわけじゃないけど実際俺と千景じゃどっちが悪いのかわからないくらいになってきてるし。

 知りたいと言う気持ちがダメだとは思わない。

 だけど、俺はその知りたいことの知り方が最低なのだと自分自身でも思う。

 俺はゆっくりと右手を莉子ちゃんに近付けた。

 すやすやと無防備に眠っている莉子ちゃんの頬はお風呂上がりだからなのかいつもより赤く染まっている。
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