この思い秘密です
タブレットにはこれからデビューするまで

デビューしてからの事が事細かに書かれていた。

だが、いついつデビューするといった具体的な日時は記載されてない。

恐らく私たちの腕にかかってるということだろう。


そのことは淳平も理解していたみたいで

「こりゃ~大変なことになったな・・・」

と私にだけ聞こえる声で囁いた。


「little liseってユニット名だけど、沖野君がいることは内緒にするでしょ?
 本当は秘密にしてるってことになるんだけど、それよりは嘘ついてましたって感じのほうが
しっくりくるなって思って
敢えてliseって言葉にしたんだ。僕の計画では人気が出て凪ちゃんが望んでいた
沖野君が再び大きな会場で歌うことができた時に実は・・・って暴露するんだけどね・・・」


何か含みを持った言葉に

何かあるのかと淳平が尋ねるとさっきまでの笑顔から急にまじめな顔つきになった坂下さんが

背もたれにもたれながら腕を組んだ。

そして・・・

「ここまでが僕ができること」

『えっ?!』

またもや声が重なった。

「永久的にプロデュースする気はないよ。だってこれはビジネスだからね。
僕は君たちが大きな会場でライブができるまで面倒見るよ」

坂下さんは簡単に言うが

考えてみればこんなすごい人に

ここまでしてもらうこと自体が普通じゃ考えられない事だ。

実際坂下さんにプロデュースしてほしいアーティストは数知れず

うちの事務所に来た時だって事務所中大騒ぎだったんだ。

他にもたくさんのアーティストのプロデュースを掛け持ちしているんだから

ここまでしてもらえることを感謝しなくちゃいけない。


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