この思い秘密です
そして・・・今日

まだ眠たそうな淳平を無理やり車に乗せた。

「おい!どうしたんだよこの車」

「上野さんがね、気分転換にドライブにでも行っておいでって車を貸してくれたの」

カーステレオからは淳平の大好きな80年代の洋楽を流し

少しでも淳平がリフレッシュできるように頑張ってみた。


「ふ~~ん。で?これからどこに行くんだよ」

「それは・・・・秘密です。それではシートベルトはいい?」

チラリと淳平の上半身をみてシートベルトを確認すると私はゆっくりと車を発進させた。

平日ということもあり車も少なく、天気もすこぶるよく景色も最高と言いたいところだけど

私が運転しているため景色を堪能する余裕が全くなかった。

目下、目の前の緩やかなカーブとの戦いだった。

運転は決して嫌いじゃないんだけど普段山道を走ることがないため

緊張してしまう。

だが淳平はそんな私のことなどお構いなく山の上からの絶景にテンションが高かった。

元々、スランプ気味の淳平がリフレッシュできればと思って考えたドライブコース。

喜んでくれなきゃ私が困る。

これも仕事の一環だ。

デート気分なんて言ってられないのだ。(本の少しだけ期待したんだけど・・・)

「凪・・・」

景色をみながら淳平が呼んだ。

「はい」

「・・・ありがとうな」

「え?」

「俺がスランプ気味だから気を使ってくれたんだろう?」

前を向いていて淳平がどんな表情なのかわからないけど

今日だけは仕事の事は考えて欲しくなくて

「いいえ!私が行きたかったんで気にしないでこの景色を堪能してください!」

断言するように言うと少しだけアクセルを強く踏んだ。

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