この思い秘密です
「ひとりの女性の恋の始まりを、ひとつの物語として
テーマに添った歌を作るのさ。出会いや片思いや両思い結婚出産・・・
アルバム1枚がまるで恋愛小説見たいな感じにしたいんだ」

コンセプトアルバムとしては面白いと思う。

だけどあの絵を見て女性視点でアルバムを作りたいって思った淳平に対して不安はあった

「アイデアとしては凄くいいと思うよ。でも淳平が女性視点で歌詞を書く事って
相当難しくない?」

マネージャーの私だから言えることだけど

淳平が今までの人生のなかで本気でひとりの人を好きになったことは

恐らくないだろう。

私がマネージャーになる少し前に女性関係で揉めたということは社長から聞いており

気をつけるように言われた。

どんな揉め事だったのかは詳しく聞けなかったけど

私がマネージャーになってからはまともな恋愛はしていないと思う。

もちろん、淳平はこの通りイケメンだから

女の人がほっておかないだろうけど私が知る限り真剣な付き合いはない。

それでも淳平は男だから多分、私に隠れて真剣じゃないのはあったと思うけど聞くのも知るのも怖いから

確認はしてない。

そんな恋愛から遠ざかっている淳平が女性目線でのラブソングが書けるのか?

だが淳平はなぜかきょとんとした顔で私をまじまじと見ていた。

そして・・・

「え?何言ってんの?俺は歌詞は書かないよ」

何言ってんのはこっちのセリフだよ。

「はい?じゃあ・・・誰が歌詞を書くの?」

「誰って決まってんじゃん。凪・・・あんただよ」

ん?

今・・・私の名前言った?
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