この思い秘密です
「ええええ!わ・・私?」

冗談じゃない。なんで私が歌詞なんか書かなきゃいけないのよ。

大体、本業はマネージャーで今回のユニットだって淳平のためにと言っても・・・間違ってない

それなのに書いたこともない歌詞をかけだなんて高所恐怖症の人がバンジージャンプするようなものよ。

「無理無理・・・ごめん。歌詞なんて書けない・・・私が書いたら
 売れないよ」

だが淳平は私の訴えに表情一つ変えようとしない。それどころか・・・

「お前・・・好きな男いるんだろ?」

好きな人に『好きな男いるんだろう?』と言われるのはなんだかモヤモヤする。

だってその中に淳平本人はないことを前提として聞かれているみたいだったから・・

「え?・・・・い・・いるけど」

渋々答えると淳平がニヤリと笑った。

「じゃ~問題ねーよ。その好きな男の事を思いながら書いちゃえばいいんだよ。
 こうなったらいいとかさ、妄想膨らませて自分の理想の恋愛像を歌詞にする。
そしてその歌詞を基に俺が作曲する」

「そんな・・簡単に言うけど」

「俺たちユニットだろ?どうせ作るなら2人でつくろうって言ってんの」

淳平の言っていることは間違いじゃない。

だけど私の中では歌を歌うことだけに専念すればいいと思っていただけに

想定外の出来事に開いた口はしばらく塞がることはなかった。
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