この思い秘密です
「あっ!こんなとこにいたのかよ~~探したぞ」

「ごめんなさい」

どのくらいぼーっとしていたのだろう。

気が付くとスタジオにこもってた淳平が私を探しに屋上まで上がってきた。

「星でも見てたのか?」

夜空を見上げながら問いかける淳平に私は「うん」としか答えられなかった。

すると淳平は何かを思い出したかのように

「ああっ!」と大きな声をあげた。

「な・なに?」

「そうそう!今坂下滋と会ったんだよ。ここのスタジオで誰かのプロデュースでもしてんだろうね」

かなり興奮気味に話す淳平を見て、もしかすると彼にプロデュースしてほしいのかもしれないと

思い遠回しに質問してみた。

「もし、坂下滋が淳平の曲をプロデュースしたいって言ったらどうする?」

淳平が、必要ないと言えば私や坂下さんが何を言おうと曲げない性格だからこの話はなかったこと

になる。(契約解除は免れないけど・・・)

私が淳平の返事を待っていると

「なあ・・・俺ってさ、次がないっていうぐらい本当はヤバいんだろ?」

いつもは見せない寂しそうな表情に私はなんといえばいいのか・・・言葉に詰まった。

「それはー」

「お前がここに来るのが遅かったのは社長に呼ばれたからってことくらいわかるよ。

 大方、次の更新までにヒット曲が出なかった時は更新しないってことだろ?」

当たっていただけに反論もできず視線をそらすと。

「図星か・・・」

フッと吐き捨てるようにため息をつくと屋上のフェンスに手をかけた。

「・・・・さっきの質問の答えだけどー」

「まだ・・・この仕事辞めたくないんでね・・・なんでもやるよ。

坂下滋のプロデュースで曲を出せば俺の時代遅れの歌もたちまちチャートインなんだろ?

・・・といってもあの人が俺をプロデュースするなんてことはないだろうけどな」

淳平はフェンスから手を離すとぐ~~っと大きく背伸びをし

私に背中を向けたまま帰るぞと言いながら屋上の扉を開けそのまま階段を下りて行った。

淳平がどんな顔をしていたのかわからないが



淳平にあんな言葉を言わせてしまうなんて

私は何のサポートもできないダメマネージャーだ・・・・
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