あたしだけのヒーロー
「…啓。………あたしの、話を…聞いてくれる…?」





優しげな笑みを浮かべて頷く啓に目を合わせて、






あたしは頭を下げた。






「…ほんっとに…っ、ごめんなさい…っ」






知ってる香りと温かさを感じて、抱きしめられたんだと理解した。







「…うん、もういいよ。無理させて、ごめんね」







彼の腕の中で首を振る。








啓が謝ることは何もない。傷ついたのはほかでもない啓のはずだ。
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