虹色のラブレター
それから長かった冬も終わりに近づき、季節は春を迎えようとしていた。
僕の生活は相変わらずだった。
僕は千鶴が居なくなったあの日から、何も変わっていなかった。
足早に流れる時間のスピードに自分だけ置いていかれているような気がした。
この頃くらいから、僕は自分の気持ちにそろそろ限界を感じ始めていた。
いつまでももう二度と会えない人を追いかけている、未練たらしい自分に嫌気がさし始めていたのだ。
諦めようと思うと、何もかもがもうどうでもよくなった。
千鶴は僕との一夜だけの思い出を残して居なくなった。
彼女にとっての、僕の存在なんてそんなものだった。
僕が彼女に抱いた感情……千鶴の中にはそんな感情なんて全くなかった。
だけど、それは当然、納得の出来ることだった。
だって、千鶴には彼氏がいたのだから……。
でも、僕は少なくとも千鶴の友達だと思っていた。
なぜなら、彼女は一度もそれを否定したことがなかったから。
だから、僕は何も言わずに居なくなった千鶴のことを心の片隅でずっと待っていた。
友達ならば「さようなら」を言わずに居なくなることはないはずだったから……。
でも、それは僕の大きな勘違いだった。
実際、千鶴からの連絡はもう半年以上なかった。
つまり、彼女の中での僕の存在は友達でもなかったということなのだ。
そんなある日、僕のポケベルに美貴からの連絡が入った。
彼女はいつになく真剣な口調で「会いたい」と言ってきた。