虹色のラブレター
食べ終わった後、千鶴はすぐにシンクに向い、食器を洗い始めた。
僕はそんな彼女に気遣い、狭いシンクの前に並んで食器洗いの手伝いを始めた。
「いいよ。智は先にお風呂行って?仕事帰りなんだし」
千鶴は、隣に並んだ僕の体を体で押しのけて、シンクの前をわざと占領した。
『いいの?何か悪いな……。ご飯も御馳走になったし』
「え?そんなこと気にするんだ?」
千鶴は笑った。
『そりゃ気にするよ。だって……』
「いいの。その間に片付け終わらせとくから」
千鶴は振り返って、指に付いた泡を僕に向かって弾いた。
『ひゃっ』
頬と鼻の頭に付いた泡が冷たかった。
「はい。お風呂で流してきなさ~い」
千鶴は笑いながら続きを洗い始めた。
僕はそんな千鶴に後ろから”ひざカックン”をして、お風呂場に向かった。