虹色のラブレター


「智(とも)って呼んでいい?」


『うん。僕もその方が話やすいし♪』


「そっか……じゃ、智はいくつ?」


『いくつって?』


「歳だよ!」


『え?うんと……21歳』


少し強がってそんな冗談を言ったのだが、彼女はそれを冗談とは受け止めなかった。

驚いた表情を見せた後、少し戸惑いながら独り言のように声を出した。


「え?じゃ……智さん?かな?」


僕は質問を聞き返した。


『自分は?いくつ?』


「自分?」


美貴はそう呼ばれることが気に入らないみたいだった。


「……美貴って言ったじゃん」


彼女は自分のことをそう呼んで欲しそうだった。

だから僕は、そのリクエストに答えることにした。


『み、美貴…さ、さんは?』


慣れない言い方を聞いておもしろかったのか、名前で呼ばれたことが嬉しかったのか……彼女はその瞬間、あははと声を出して笑った。

見た目は大人っぽくて落ち着いて見えるが、彼女は明るくてよく声を出して笑う人だった。




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