虹色のラブレター
それから僕たちはどこかに行くわけでもなく、1時間ほどドライブを楽しんでから、千鶴の家に帰った。
そこで、車を停めておく場所が問題になった。
家の前は道幅も狭くて、車を停めておくことは出来なかった。
僕は千鶴の家の裏手にある小学校の通用門の前のスペースを思い出して、そこに車を停めた。
要は明日の朝、学校の関係者が来る前に車を移動させれば問題はない。
千鶴はちょっと心配そうな感じだったが、もう一度車を停めるのに自分の家に帰るわけにはいかなかったので、僕はそこに車を停めることにした。
家に帰って、僕たちはそれぞれの布団に納まった。
ナツメがほのかに照らす、オレンジ色の天井を見上げながら千鶴が言った。
「今日は緊張したなあ」
『何?俺のお母さんのこと?』
「うん。でも、ちょっと嬉しかった」
『嬉しかった?』
「うん。智の家にも行けたし、お母さんとも話できたし」
『そう?』
「だって、嫌われたくないじゃない?」
『それはそうだけど……でも、千鶴は俺の……』
僕はこの続きの「彼女じゃないだろ?」という言葉を飲み込んだ。
その曖昧な言葉がきっかけとなり、千鶴は黙ってしまった。