虹色のラブレター
しばらく沈黙が続いて、もう眠ってしまったのかと思い、僕は千鶴の方に首を傾けた。
だけど、彼女は黙って天井を見上げたままだった。
「ねえ……」
千鶴が上を向いたまま囁くように言った。
『何?』
「どうして……聞かないの?」
『何を?』
「気にならない?」
僕には、千鶴が言ってる言葉の意味がわかっていた。
だけど、わかっていないフリをした。
気になっている。
ずっと知りたいと思っている。
知りたくないとも思っている。
だけど、もうそんなことどうでもいい。とも思っている。
なのに、僕が言葉を選んでいる間に、千鶴はその先の言葉を口にした。
「私の……彼氏のこと」