虹色のラブレター
* 13 *
朝になると、昨日の夜の出来事がなんだか照れくさくて、千鶴の顔をまともに見れないくらい緊張した。
寝坊したわけではないが、慣れない支度に手間取った僕たちは、急いでホテルを出てまっすぐに千鶴の家に向かった。
ホテルから千鶴の家までは、車で20分程度の距離だった。
途中で、彼女は窓を全開にした。
「気持ちいい~」
風を顔に受けて、太陽の光で茶色の髪がさらに明るく輝く髪をなびかせながら、彼女は言った。
確かにいい天気だったけど、初夏の朝は寒かった。
『さ、寒いってば!!』
「あはは、自然だよ。自然!!」
笑ってそう言いながらも、千鶴はすぐに窓を閉めた。
「なんか智の横に乗ってると、窓開けたくなるんだよ」
『意味わかんないし!!』
「そう?」
千鶴は僕の顔を覗き込んだ。
やっぱりまだ少し恥ずかしかった。
『な、何!?』
彼女の顔をチラッと見て、それから少し強い口調で、照れ隠しをする。
「なぁんにもないよ~」
千鶴はもう一度声を出して笑った。