虹色のラブレター
仕事が終わって、僕はとりあえず自分の家に帰った。
そして、美貴からの連絡を待つ。
テレビを見ても、音楽を聞いても落ち着いていられない。
複雑な思いで時計とにらめっこしながらも、時間はどんどん過ぎていく。
そして11時を過ぎた時、握り締めていたベルではなくて、床に置きっ放しだった電話が呼び出し音を鳴らし始めた。
こんな時間に鳴る電話の相手は、家族の誰でもなく僕の電話しかない。
『もしもし?』
返事がない。
『もしもし?』
受話器の向こうから聞こえてくるのは、車が行き交う音だけだ。
どうやら公衆電話からかけてきているらしい。
すると、突然僕の知らないはずの男の人が僕の名前を呼んだ。
「智くん!?」
その声はかなり焦ったような声だった。
『え?あ、はい……』
「美貴ちゃんの友達だよね!?」
僕の知らないその男は早口で言う。
『あ、はい……そうですけど』
突然の電話で整理がつかないままも、僕はとりあえず質問に答えた。
「今日、美貴ちゃんと会う約束してたんだろ?」
『あ、はい……それで連絡待ってたんだけど』
「早く来てやってくれよ!!美貴ちゃん泥酔いで大変なんだ!!」
『え!?』
美貴が今居る場所を聞いて電話を切った僕は、急いで車を走らせた。
『俺のせいだ……俺のせいで……!!』