虹色のラブレター
「私が智のベルの番号を……千鶴に教えなかったら」
『そんなことないよ。短い間だったけど……千鶴と一緒にいれて幸せだった。それに、きっと千鶴はまた帰ってくるよ』
「智……」
『だって、さっき電話で千鶴は俺に言ったんだ。”落ち着いたら、また電話するから”って。それに、まだ果たしてない約束もあるし……』
だけど、この時すでに本当は気付いていたのかも知れない。
これまでの千鶴の言動をひとつひとつ思い返していくと、必然的に、そこに隠された真実に辿り着くしかないのだから。
つまり、千鶴はもう帰ってこない。という真実に。