虹色のラブレター
美貴は顔を上げて、僕の目を見た。
そして、息を整えながら言った。
「あの時……私が智に本当のことを話してたら……どうなってたのかな」
『あの時?』
「私が……久しぶりに智のベルを鳴らした時。智は電話をかけてくれたけど……あの時、千鶴と一緒に居たんでしょ?」
僕は千鶴とドライブをしていた時に、コンビニの公衆電話から美貴に電話をかけたことを思い出した。
あの時、美貴は「何もないよ」って言ってた。
だけど、本当は僕にこのことを話そうと思っていた。
でも、僕が千鶴と一緒にに居たから……。
それはまだほんの数日前のことなのに、遠い記憶のように思えた。
僕は「うん」と頷いて続けた。
『どうなってたんだろうね……想像もつかないや』
「そっか……。そうだよね」
『だけど……』
「うん」
『きっと、こんな幸せを感じることはできなかった……』
「そっか……」
『それに……』
僕は続きの言葉を口にしないで黙っていた。
美貴は「何?」という表情で僕をジッと見つめた。