虹色のラブレター
* エピローグ *
それから約半年後の12月、僕はこの挿話に隠されていた真実を知ることとなった。
全てを知ることが幸せだとは思わない。
たとえそれが、必然であっても……知らずに過ごしていた方が幸せなこともある。
だけど、それが千鶴の……僕に残した最後のメッセージであり、未来への道標だと思えば、僕はそれを素直に誠心誠意受け止めなければいけない。
そのきっかけは、ある日僕のポケベルに入った奇妙な7つの数字だった。
”0410ー426”
こういう風に、明らかに電話番号ではない数字が並んでいる場合、何らかのメッセージをゴロ合わせにしていることが多い。
少し考えて、僕はすぐにその答えに辿り着いた。
”0410”とは、”おしいれ”……つまり、「押入れ」のことで、ハイフンの後の”426”は送信者の名前……つまり「千鶴」だ。
僕は「もしかしたら千鶴が帰ってきたのかも知れない」という、僅かな期待を胸一杯に膨らませながら仕事を終わらせて、急いで千鶴の家に向かった。