虹色のラブレター


「智?元気にしてますか?

智がこれを読んでるってことは、私が居なくなってもう半年以上経ってるんだね。

もしかしたら、それ以上かな?

どっちにしても久しぶりだね。

だけど、この手帳が智の手に渡って本当によかった。

私が智と一緒にいる時、ずっと「この手帳は読んじゃ駄目だよ」って言ってたのにね。

ごめんね。

智は「今更何だよ!!」って怒るかも知れない。

だけど、これも私のわがままだと思って許して欲しいの。

そして、ちゃんと読んで欲しい。

私の本当の気持ちを受け取って欲しいの。

お願いします。




今はホテルに泊まった日の夕方だよ。

さっき引越し屋さんが来て(って言っても小さいトラックだったけどね)荷物を全部運びだしたところ。

智との思い出がいっぱい詰まった部屋だったから…なんかガラーンとしてて寂しいな。

智は今頃、まだ一生懸命仕事してるんだろうね。

ごめんね、いろんなことずっと黙ってて。

でも私ね、後悔はしてないの。

騙してたのは悪いことだけど…でも、私は最高の恋愛が出来た。

短い間だったけど、私は一生分の恋をしたの。

だから、智にも同じように思って欲しい。

だって智は私に、一生分の愛をくれたんだから。




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