虹色のラブレター
今でも瞼を閉じると、浮かんでくるのは智の笑顔だよ。
本当は、病気のこと智に話したかった。
何度も話そうと思った。
だけど、そんなことしたら智は悲しい顔をするでしょ?
私は、智に心配かけたくなかったの。
智の悲しむ顔は見たくなかった。
智、私は強くなんかないよ。
ただ、私は智の笑顔の隣でずっと笑っていたかっただけなの。
ずっと一緒に居れないのは分かってたから…だから、せめて一緒に居る時間は笑顔でいたかった。
ホテルでのキスの時、智は私に聞いたよね?「また来るんだろ?」って。
私は「うん」って答えた。
覚えてる?
あれは嘘なんかじゃないよ。
私はきっと、またここに帰ってくるの。
智が「それいいよ!!」って言ってくれた、看護婦さんになるために。
それで、また智のポケベルを鳴らすの。
そしたら、智は私にこう言うわ…「千鶴は俺の友達だ」って。
そうよね、私たちは付き合ってないものね。
だから、私は声を出して言うの。
「私は智のことを愛しています。付き合って下さい」って。
それを聞いた智は何て言うのかな。
何を言ったって無駄だよ?
私はあのキスの時、二人の間に確かに愛が生まれてたことを知ってるんだから。