虹色のラブレター
* 5 *
目が覚めた時、部屋はすでに明るく、窓からは強い日差しが差し込んでいた。
僕は重い体を起こし、隣のベッドで眠っているはずの美貴の方を見た。
でも彼女の姿はそこにはなく、ベッドが乱れている様子もなかった。
僕は急いでベッドから立ち上がり、洗面所、お風呂場、トイレと順番に彼女の姿を探したが、どこにも彼女のいる気配はなかった。
僕の頭の中には昨日の夜の出来事しか浮かんでこなかった。
すると、なんだか急激に言葉で言い表せないほどの不安が込み上げてきた。
こんな気持ちになったのは初めてだった。
その時、部屋の鍵が開く音がした。
続いてガチャッという音が聞こえて、静かな足音が近づいてきた。
背中に気配を感じた。
「智?……おはよう、起きてたんだ」
後ろから美貴の声が聞こえた。
すぐに返すことが出来なかった僕は黙って頷いた。
「……どうしたの?」
『ううん……』
そう答えるのが精一杯だった。
「そっか……駅のコンビニに行っていろいろ買ってきたの。ここはモーニングも全部別料金みたいだから……パンとコーヒーでいい?二日酔いで気持ち悪かったら無理しなくてもいいよ」
『ううん、大丈夫……ありがとう』
僕は息を整えてそう答えた。