虹色のラブレター
*
ホテルを出た僕たちは、地図を広げて次の目的地を探すことにした。
夜にはここを出て地元に帰るつもりだったから、そんなに遠くまではいけない。
「ここは?……そんなに遠くはないと思うんだけど」
美貴が見つけたのは、この地方ではちょっとした観光名所になっている海だった。
この場所からだと地図で見る限り、そんなに遠くはないように見えた。
『うん、いいよ、そこにしよう』
「でも大丈夫?ずっと運転してるけど……」
『うん、僕、車の運転好きだし』
それでも彼女は心配そうに僕の方を見ていた。
目的地が決まった僕たちは、また地図と標識に頼るドライブを始めた。
道はそんなに複雑ではなかった。
地図を見ると、目的地の海までは一本の国道を走って行けば辿り着きそうだった。
しかも、その国道にも僕が思っていた以上に簡単に入ることが出来た。
あとはそのまま道なりに走って行けば自然と海に着く。
標識にもちゃんと海までの距離が標されていた。
美貴も安心したらしく広げていた地図を丁寧に仕舞った。
「二日酔いじゃない?」
『なんとか大丈夫みたい、美貴さんは?』
「私はあれくらいじゃ全然平気」
『みたいだね』
助手席の方をチラッと見た時、彼女はピースサインをして笑っていた。
その表情は大人な彼女とはかけ離れた、子供っぽい笑顔だった。