虹色のラブレター
「……結構、かわいいかも」
確かに可愛らしい雰囲気はあった。
でも、僕は一瞬見ただけでちゃんと彼女のことを見たというわけではなかったし、何よりまず、その子がどんな子であっても興味がなかった。
『じゃ、声掛ければ?』
「そんな簡単に言うなよ……あの子コーヒー持って来てくれるかなぁ……」
僕はタバコに火をつけてフーと一息ふかし、隣に置いてあった雑誌に手を掛けた。
貴久はそんな僕の仕草を見て何か言いたそうな表情だった。
『どうした?』
「お前、興味ないの?」
『あんまり……』
「何で?」
『何でって……ちゃんと見てないし……』
本当の理由はそんなことではなかった。
僕はこの時、高校生の頃ずっと付き合っていた彼女と別れた後遺症がまだ残っていて、新しい彼女を作るということに抵抗があったのだ。
僕は広げた雑誌に視線を落とした。