虹色のラブレター
『あ、美貴さん?ごめん、ちょっと遅くなっちゃって』
「ううん、いいの。今帰ってきたの?」
『うん、美貴さんは?何してたの?』
「……飲んでたぁ♪」
『また?ホントお酒好きだよね』
「でも大丈夫♪私はめったに酔わないから♪」
『それはわかってるけど。で、どうしたの?』
「何が?」
『え?何がって……僕に何か用があったんじゃ……』
「ううん、別にそんなんじゃなくって……久しぶりだったからさ、話がしたくって……そんなんじゃ駄目だったかな……」
彼女の声が徐々に聞き取れないくらい小さくなっていった。
『ううん、そんな駄目とか……』
僕は感じていなかったけど、彼女のそんな気持ちが痛いほど伝わってきた。
彼女が少し寂しそうな表情をしているのが受話器越しに見えるような気がした。
もちろん見えるはずはないのだが……。
『あ、あのさ……僕も今日美貴さんに電話するって言おうと思ってたんだ』
「ほんとに?」
『う、うん』
理由は違ったけど、それは本当のことだった。
でもそんなことで彼女のテンションが上がった時、僕の胸はチクッと何かが刺さったように痛んだ。
僕は自分の言葉に後悔をした。