虹色のラブレター
『美貴さん?大丈夫?』
「うん!大丈夫♪」
そう言って美貴は僕にピースサインをしてみせたが、足はふらふらでじっと立っていられないようだった。
僕はそんな彼女の腕を掴んだ。
彼女は俯いて地面に一息「ふぅ」と溜息を吐き、その長い黒髪をかき上げた。
「優しいのね」
そう言って美貴はクスッと笑みをこぼした。
そして「彼女でもないのに?」と言った。
『酔ってるの?』
「ううん、私はめったに酔わないの!」
彼女の体が横に流れた。
僕は掴んだ腕に力を入れて、そんな彼女の体を引き寄せた。
『やっぱり酔ってるよ……俺に掴まって?』
「もう……大丈夫だから……」
『でも……』
「やめて……」
彼女はその長い黒髪で顔を隠すようにもう一度俯いた。
「そんなに優しくしないで……」
その声は涙混じりで囁くような声だった。