は?何それおいしいの?
お昼休み、賑やかになった教室であたしは桃を呼んだ。
「今日ごはんは?」
「んー…学食行く」
学食かぁ。また注目浴びるけど、まぁいいか。
それじゃ行こっか、とあたしはお弁当を持って立ち上がり、桃は雑誌片手に立ち上がった。
こんなときでもグルメ雑誌……きっと無人島に何か1つだけ持って行くなら何にする?っていうよくあるありきたりな質問に、桃は「グルメ雑誌」と答えるに違いない。
人にぶつからないように桃をコントロールしながら学食に向かう。
この様子ももはや恒例みたいで、桃とあたしが歩いてるのを見るとみんな自分から避けてくれるからありがたい。
段差は避けてくれないからあたしはやっぱり必要なんだけど。
「桃、あたしあそこにいるね」
早く行っといで、と雑誌を預ってあたしも空いた席に向かった。
さすがに雑誌見ながら学食を頼むのは危険なので、桃もそこは理解を示して素直に渡してくれる。
授業のときは渋るときもあるのに……食べ物関連だからか。
などと1人納得しながら席に座り、お弁当を広げた。
あたしは食べるスピードが遅いから、こういうときは先に食べてないと最終的に桃を待たせる結果になるのが目に見えている。
なので遠慮なくいただきます、と手を合わせてブロッコリーに箸を突き立てた。
モグモグと口を動かしているとすぐに桃もきて、あたしの向かい側に腰を下ろす。
「今日はラーメンと炒飯?」
「これが中華料理だったから中華が食べたくなった」
はぁ、成る程。いやに赤い表紙だと思ってたら中華料理の雑誌だったのね。
いただきます、と桃も手を合わせて自分の食事に取りかかった。