は?何それおいしいの?



よくは知らないけど親戚は遠いところに住んでいるらしく、頼ることも難しいらしい。


うちのお母さんが桃大好きで自分にできることならなんでもする、とか言うようになってよかった。


だから特に意味ないよ、と言うあたしに「えぇーつまんなーい」となしのんはガッカリした様子。


何に期待してたんだこの子は。


しばらくなしのんと話し込んでいると、桃が帰ってきた。


よしよし、授業までに帰ってきたね。



「お帰り。はい預ってたグルメ雑誌返すね」


「ん、」


「でもすぐ授業だからしまってよ?」


「………」



無言が返ってきた。否定か肯定かどっちなんだ桃。


ふぅ、と小さな息を吐いてカバンからキャラメルを漁り出す。



「桃、ほら」



口開けて、とキャラメルを差し出せばおとなしくキャラメルをパクリ。


いっしょにあたしの指まで食べやがった。あたしはおいしくないぞ。



「桃、分かった?」


「んー」



うん。多分これは肯定だ。……多分。


まぁいいやと再びなしのんとの会話を始めようとした矢先、予鈴が鳴ってしまった。


なしのんはニヤニヤしながら「またあとで〜」なんて言って自分の席に戻る。


あぁいう顔してるときってろくなことなかった気がする。次は何考えてるんだろ、と首を傾げるあたしだった。





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