は?何それおいしいの?



ジロジロと視線は感じるものの、これでもよくなった方だ。


入学当初は桃の変人っぷりを知らず、見た目がいいというだけで騒がれていたからなぁ。


そしてその変人っぷりが露見した1件の1つが、題して『朝の通学路告白事件』である。(勝手にあたしがそう言っているだけ)


言葉通りだけど、あたしと桃がいっしょに朝来ているときに、通学路、というより学校の前ぐらいで告白をされたのだ。


なんで朝だったのかは、あたしも桃も教室が同じでずっといっしょだったから話しかけるのがそのときしかなかったんじゃないかとあたしは推測している。


もちろん告白の相手は桃で、告白をしたのはかわいいと男子でも女子の間でももっぱら噂になっていた子らしい。


残念ながらあたしは知らなかったけど。


んで、その回想。






「あ、あのっ、天野くん!!」



目の前に出てきた女子にぶつからないように桃の袖を掴み足を止めさせたあたし。


ついで腕を叩くことで気づかせようと思ったけど無駄だったので、グルメ雑誌を没取して意識を現実に向けさせた。


むっと顔をしかめる桃だったけどいちいち気にしてたら付き合ってなんていられない。


ちょいちょいと指をさすことで前を向かせてあげた。



「………何?」



その一言であたしは悟った。


こりゃ機嫌が最悪だ、と。





< 3 / 84 >

この作品をシェア

pagetop