は?何それおいしいの?
「桃、それはね、この子が桃のことを好きって言ってるの。いっしょに恋愛しましょう、だから付き合って下さいってこと」
分かった?と確認すると一応は理解したみたい。
ただ理解したからと言って桃が普通の反応をするとは思えない。これは長年桃を見続けた幼馴染みの勘だ。
そして……
「『恋愛』……は?何それおいしいの?」
そう、真面目な顔して言い放った。しかもこてんと首を傾げての返答だ。
……あー、耐性があるとは言え頭が痛い。
こいつ、恋愛もおいしいかそうじゃないかで考えるか。
そうだよね。桃の中にあるのって言ったらその2択よね。
ちなみに「は?何それおいしいの?」というのは桃の口癖みたいなものだ。
新しいものに出会ったとき、必ずと言っていいほどにこんな台詞を言う。
1番新しい記憶としては確か、まだ中学生のくせにませたうちの弟が桃にエロ本を見せてあげたときだ。
グルメ雑誌ばかり読んでる桃に、読んでみなよと勧めた弟に向かって「何これ、おいしいの?」と疑問を浮かべていた。
どうやらそういう類いのものを見たことがなく、挑戦して(というか弟が半ば無理矢理見せたらしいけど)みたものの、その良さが思った以上に分からなかったらしい。
あとで弟が「おいおい、桃にぃ男として終わってんじゃねぇの?」と失礼な心配をしていたのは余談としておく。