は?何それおいしいの?
懐かしいなー、と思いながら歩いていると学校についた。
「桃、そこ段差」
「んー」
「はい、くつ履き替えて」
「んー」
「そっちじゃなくて、教室はこっち」
「んー」
ダメだ。全部生返事。こっちの声は聞こえてないに違いない。
まぁもう慣れたけどさ。
袖を引っ張って教室まで歩いていると、たくさんの人に声をかけられる。
曰く「朝から大変だな」
曰く「またやってんのか。頑張れよー」
曰く「お疲れさま」
等々。
朝からお疲れさまって言われてるあたしってどうなんだろう、と思いながらもヒラヒラと手を振ってありがとうの言葉を送っておいた。
教室に入って適当に挨拶を交わし、桃を席につかせる。
ちなみにあたしと桃は隣同士。
その理由は、まぁ桃のストッパーみたいなものかな。
桃って授業中とか関係なしにグルメ雑誌やらネットやらするから、それを止めさせるのがあたしの役割。
前に授業そっちのけでグルメ雑誌を見てた桃にキレた先生が雑誌を没取したとき、珍しく桃がキレた。
桃のところは昔、おじいちゃんが武道を教えていた。
今じゃ年だからってやっていないけど、近所じゃ有名所だったらしい。
桃はおじいちゃんっ子でよく遊びに行ってたから自然とそういうのも身につくようになり。
イケメンも相乗効果になったのか、迫力が割増で、生徒のみならず先生までもが恐怖に陥った。
でもま、桃って意外に短気で、そういう場面にも幾度となく遭遇していたあたしはすでに慣れてしまっていたのだ。