は?何それおいしいの?



キョトン、としてあたしは桃を見つめる。桃もそれに応えるように「うん?」とあたしと視線を合わせた。


今、ものすごく信じられないことを聞いたんだけど。



「は、はじ、めて……?」


「うん」


「はじめて、したの……?」



そうだよ、と不思議そうにする桃に、気づいたら、


「嘘だ!!」


と叫んでいた。


まぁ案の定というか、勝手に嘘つき呼ばわりされた桃はむっとしていたけどそれどころじゃない。



「だ、だって!桃、慣れてたじゃんっ!!」



押し倒すのとか服脱がすのとか自然だったし、キスだって上手だったし!い、いやキスの上手さとか比べようもないから知らないけどさ!


でも昨日があたしと同じ初めてだったなんて到底信じられるわけない。


昨日同じ土俵に上がっていたんだとしたら、あたしと桃のあの落ちつきようの差はいったい何!?あたしなんて自分のことで手一杯で翻弄されるばかりだったのに……なんか悔しい!



「んー、慣れてたと思ったんなら、そういうこと事前に教えてもらってたからかも」


「だ、誰に!?」



1人言らしいものにも関わらず、あたしは身を乗り出すように桃に詰め寄っていた。


でもまず、そういうことを教えてくれる人を知り合いに持っていた桃の方が驚きだ。も、もしかして美人の年上のお姉さんとか……?





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