は?何それおいしいの?



「えっと、シンに」


「……?しんって、あの、西瓜くん?」



そうと頷く桃は嘘、は言ってないんだろうけど。嘘でしょ、と驚きを示してしまうのも無理はないと思う。


あの西瓜くんが?どちらかと言えばかわいらしい愛嬌のある西瓜くんが桃にこんなことを教えた張本人だって?

目を丸くして唖然とするあたしに桃が話してくれたのはこうだ。


昔(と言っても中学時代のことだけど)桃の仲良くしていた西瓜くんには年上の彼女がいて、そういうことはいろいろすでに経験済みだったとかなんとか。


で、やっぱり中学生ともなるとそういう方面に興味が出てくるのが男の性ってやつで、女子の知らないところでそういう話で大いに盛り上がっていたらしい。


付き合いで桃はそこにいたけどそのときから桃の愛読書はグルメ雑誌。食べ物大好きな変人っぷりは周知の事実だった。


最初こそ興味なくそこにいただけだったらしいけど、あとから西瓜くんと2人っきりになったとき、


「女の子は男と違って繊細極まりないんだぜ?初めてってすっげぇ緊張するって話だし、お前が市軸と初めてヤるときお前が下手でどうするよ」


と言われたらしい。


さらに、


「興味なくてもここでちゃんと聞いとくだけで絶対ソンはないと思うぜ?益はあっても害はない!お前だって市軸のよがる姿見たいだろ?」


となんとも鮮やかに口車に乗せられたらしい。





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