C O L O R F U L
「声でかいって。……よ、ハナちゃん♪」
「……石谷…圭?」
「お、覚えてんじゃん」
「いや、こっちのセリフだから」
……えぇ?さっきの石谷圭と態度が全然、違うんですけど。
名前、覚えてるぢゃん。
「オレ、名前覚えるのだけは得意だから」
「さっき忘れてたじゃん」
「……はい?入学式始まる前と、今しかハナちゃんと会ってないよ、オレ」
「あ、えっ?…ふーん。でも…。ハナの間違いだった…アハハハ」
苦笑いして顔を見上げると、石谷圭は優しい顔だった。
少し、安心。
「…で、なんで2年の階に居るわけ?」
「……ま……ぃ…」
「……は?」
「迷子になりました!!」
「……はっ?学校で迷子!?」
石谷圭は腹を抱えて笑っている。あたしは黙ったまま、頷いた。
「オレが連れてくよ。1年だよね?」
「…うん、ありがと」