ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-
区画は違っても同じ宇宙の住人。永愛はエモリエルのことを異世界人だと受け取った。
(本当にこんなことってあるの?まるでファンタジーアニメみたい……)
目をしばたかせる永愛を前に、エモリエルは穏やかな表情のまま話した。異世界から来たのにこうして永愛達と言葉が通じる理由や、J区画で起きている異常気象のことを。
エモリエルがウソをついているようには見えない。しかし、想像を超える話を、永愛はすんなり信じることができなかった。
「もしかしてドッキリ?エモリエル君と海堂君は私をビックリさせようとしてる?」
「そういう反応になるよね……」
瑞穂は片手でおでこを押さえた。
「俺だって、エモリエルと初めて会った時は不審者としか思えなかったし……」
「海堂君とエモリエル君は、エモリエル君が転入してくる前から知り合いだったの?」
「うん。っていっても、俺も、エモリエルと知り合ったのはホント最近なんだけどね」
エモリエルが転入してくる2日前のことだった。
夜、自室のベッドに寝そべり音楽を聴いていた瑞穂の部屋に、突然エモリエルが現れた。何の前触れもなく、静かに眩しい光を放ちながら。空間転移の魔術を使ったらしい。
その時のことを、エモリエルは永愛に話した。
「瑞穂君は私のソウルメイトなのです。私個人の目的はソウルメイトに会うことだったのでそれを果たせてもう満足なのですが、組織から与えられた任務のおかげで地球へ来られたことを思うと、任務を放棄するわけにもいきません。そこで、瑞穂君に協力をお願いしたのです」
「あ、あの、ちょっと待って?」
永愛はストップをかけた。
「ソウルメイトって何?エモリエル君の任務と関係あるの?」
「直接の関係はありませんが、こうしていると無関係には思えません」
「それってどういう…?」
「私は、組織の指示であなたの戯術(ぎじゅつ)を止めるべくここへ来ました。瑞穂君にはそれを手伝ってもらわなくてはならないかもしれない。そういうことです」
そういうことですと言われても、永愛にはサッパリ分からなかった。
「言葉が足りないって。渡辺さんは組織の人間じゃないし、俺みたいなのとも違うんだから」
瑞穂が補足説明をした。
「ソウルメイトのことは後で話すよ。戯術っていうのは、エモリエルの世界で使われてる言葉。戯れる術と書いて戯術、意味もそのまま。渡辺さんにとってのおまじないのことなんだよ」
「おまじないの…?」