ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-

「どうしたらいいんだろう…?」

 おまじないに代わる心のよりどころ。永愛は、勉強机の上に置いてある雑誌の存在を思い出し、即座にそれを手にした。

「占いには何て書いてあるかな!?」

 月刊誌の占い雑誌パステル。様々な占い師が、自身の得意とする占いを載せている、女性向けの雑誌だ。一部の男性読者にも人気がある。

 永愛もパステルは毎月買っている。この雑誌には、月毎の占いはもちろん、星座ごとに毎日の運勢が載っている。

(パステルの占いってけっこう当たるから、大事なことがある日は必ずチェックしちゃうんだよね)

 「ほづみうみ」という占い師が書く記事も、永愛のお気に入りだ。ほづみうみには、何度かファンレターを出している。

(ほづみうみ先生の書くことって、心にしみるんだよね。「女性の美しさは自分を大切にすることから始まる」とかさ。先生はきっと経験豊富な大人の女性なんだろうなぁ。私も将来そうなりたいよ)

 ほづみうみへの憧れや尊敬の気持ちを胸に、すがる思いでパステルを開く。今日の運勢を見てみた。

「《他人の話に耳を傾けて。意固地な態度は厳禁》……か」

 もう遅い!永愛は頭を抱えてもだえた。やはり、パステルの占いはよく当たる!

「今日の私、意固地以外の何者でもなかったよ〜!絶対感じ悪かった!!」

 学校でおとなしくしている反動なのか、自室の独り言では遠慮なく感情を出してしまう。

 せっかく仲良くなれそうだった転入生やクラスメイトと気まずい感じになってしまった。占い雑誌にも運勢を見抜かれる始末。

「そうだ!明日の運勢見てみよっ!……え?」

《異性とのトラブルに注意。恋人と別れの予兆も。言動に気をつけて。》

 色んな意味で肝が冷えた。

 秋良宗と別れる。エモリエル達との溝が深まる。心当たりがあるだけに、悪い想像が止まらなくなる。

「放課後秋良君から一緒に帰ろって言われたのに断っちゃったから、それが原因で嫌われる…?エモリエル君達とも、今より気まずい感じになるとか?」

 どちらにせよ、永愛にとっては最悪の未来だ。

 せめて、今日のことを一言エモリエル達に謝れたらいいのだが、永愛は二人の連絡先を知らない。

「海堂君とまともに話したのも、今日が初めてだったもんね……。エモリエル君も転入してきたばっかだし。そもそも異世界から来た人がスマホ持ってるのかどうかも謎だし!どうしよう…!」

 中学入学と同時に買ってもらったスマートフォンを、連絡手段として使いたいと強く思ったのはこの時が初めてだった。今までは占いアプリをメインに使っていたから。

「そういえば、なっちゃんとはあんまり連絡しないなぁ……。学校では毎日しゃべるのに」
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