ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-
小学校の卒業式の日、永愛は奈津とこんな約束をした。
『中学に入ってスマホ買ってもらったら毎日メールしようね!』
それなのに、思い返すと、その約束はいまだに果たせていない。
毎日そばにいるから、学校で会えるから、そういうことを深く考えていなかった。だけど、こうして一度考えはじめると、奈津のことが気になって仕方なかった。
(なっちゃん、今何してるかな?)
電話しようとし、とっさにやめる。昼間のことを思い出したからだ。
今朝、エモリエルに手を引かれ教室を出て行った時のことを、奈津はこんな風に言った。
『エモリエル君、かっこいいのにやってること変だよね。何で永愛なんか連れてくの?って思ったー』
瑞穂と話せたことを報告しても、奈津はつまらなさそうな反応をした。
『ふーん。よかったね〜。ま、どうでもいいけど』
考えすぎ?今までは気にしないようにしていたが、やはり、この頃の奈津はそっけない。
(私は好きだけど、なっちゃんは私のこと嫌ってる…?でも、友達って言ってくれたし、変に考えるのも良くないかな)
結局、奈津に連絡をするのはやめた。ざらつく気持ちを胸の奥にしまってーー。
翌日、永愛は不安いっぱいに登校した。エモリエルや瑞穂のことを考えると、どうしても緊張してしまう。
気持ちの重さに反し雲ひとつないいい天気なので、さらに気がめいった。
下駄箱で靴を変えていると、後ろから瑞穂がやってきたので、どんな反応をすればいいか分からずギクシャクしてしまった。
永愛の気持ちを見抜いていたのか、瑞穂は何事もなかったかのようにカッターシャツの胸元にパタパタと風を送った。
「ほんと暑いね。早く夏休みになってほしいよ」
「そ、そうだね」
「今日の放課後、また一緒に帰ろ。エモリエルと三人で」
「えっ…?」
永愛は返事につまった。誘われたのは嬉しいが、昨日の今日でエモリエルと普通に話せる自信がない。
「エモリエルのこと、やっぱりまだ怒ってる?」
「ううん!怒ってはないけど……。私昨日勝手に帰ってきたから、悪いことしたなって思って……」
「大丈夫。エモリエルは悪く思ってなんかないし。逆に謝ってた」
「エモリエル君が…?」
「だから、よかったら一緒に帰らない?エモリエルも渡辺さんと仲良くしたがってたから。あ、俺も……」
最後、言いにくそうにつぶやき瑞穂は視線をそらした。