ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-
4 ソウルメイト


 終業式の日、永愛は女子全員から無視されていた。宗と別れた原因が永愛のいい加減さにあるという、ウソのウワサが広まったせいである。

 そのウワサを流したのは奈津なのだが、永愛はそれを知らなかったし、ウワサの原因について深く考える生徒はいなかった。そのせいで永愛ばかりが一方的に悪く言われた。

 転入してから人気者になったエモリエルだけはウワサを否定して回ったが、皆はそれをエモリエルの優しさだと捉え、本気にしなかった。

 その上、そのことで宗を悪く言う生徒は一人もいなかった。ただ一人、琴坂いなみを除いては。

 終業式が終わって、各自教室に戻る時、宗にしか聞こえない声でいなみは言った。

「皆、人を見る目がないね。アンタだって悪いのに」
「琴坂さんは僕のことが嫌いなんだね」
「うん、嫌い」

 さっくり言い残し、いなみは他の女子の元に行ってしまった。じりじりした気分で、宗はいなみの後ろ姿を見ていた。

(なんなんだよ、アイツは……)

 事あるごとに絡んでくるいなみのことが目ざわりだった。



 人ににらまれるたび胸が痛んだが、永愛はそのたび、自分に言い聞かせた。

(私には海堂君とエモリエル君がついてる!分かってくれる人がいる!一人じゃない!)

 それに、今日を乗り越えれば夏休みだ。しばらくは学校に来なくてすむ。


 何とか終業式を乗り切り、永愛は夏休みを迎えた。

 いつもより長く寝れる。ベッドでうとうとしていると、瑞穂から電話がかかってきた。あわててスマホを手に取る。

「はい!」
『おはよ。って、もうすぐ昼だけど。寝てた?』
「うん、ちょうど今起きたとこだよ」
『今から出てこれる?』

 一時間後、永愛はあの公園で瑞穂やエモリエルと待ち合わせた。初めてエモリエルの正体を聞いた場所。

「待たせてごめんねっ」

 急いで来たつもりだが、エモリエルと瑞穂はすでに公園に着いていた。

「いえ、私達も今来たところですから」
「外暑いし、ファミレスでも行こっか。話したいこともあるし」

 瑞穂の提案で、三人はここから近いファミレスに行くことにした。昼ご飯を食べるにもちょうどいい時間だ。
< 37 / 74 >

この作品をシェア

pagetop