ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-
エモリエルが持ってきたのは、イチゴオレだった。永愛がだいたいいつも飲んでいるものである。
「おいしいっ」
「外は暑かったでしょう?甘いものを飲むと集中できるといいますからね。好きな時におかわりして下さい」
「ありがとう。でも、なんか悪いよっ」
「遠慮なさらず。今日の勉強会が決まってすぐ、買い出しに行きましたから」
エモリエルは柔らかな笑みを見せ、冷蔵庫の中を永愛に見せた。何日間か買い物に行かなくてもすむくらい、食材や飲み物がストックされている。
「すっ、すごい!本当にたくさん買い置きしてある!」
「どうか、自分の家だと思ってくつろいでくださいね。今日だけと言わず、私はいつまで居てもらっても大丈夫ですから」
キラキラしたエモリエルの笑顔は、その見た目もあって、異国の王子様みたいだなと、永愛は思った。
「やけに張り切ってるね、エモリエル」
仲良く話す二人の元に、瑞穂がやってくる。さっきまではそうでもなかったのに、今の瑞穂はどこか不機嫌だ。
「言っとくけど、今日は遊びじゃなく宿題消化のために来たんだからね?」
「そんなに念を押さなくても理解していますよ。瑞穂君」
笑顔で答えているエモリエルも、どこかいつもと違う。二人の間にはピリピリした空気が漂っているように、永愛は感じた。
(二人はソウルメイトで、仲がいいんだよね…?)
二人に想われていることを知らない永愛だけが、純粋に勉強のことを考えているのであった。
勉強の時間が始まって早々、エモリエルと瑞穂はにらみ合うことになった。
ちびちび宿題をこなしている永愛の両隣で、
「永愛さん、分からない所があれば何でも訊いてくださいね」
「異世界から来たばかりのエモリエルより、俺の方が教えてあげられること多いと思うけど」
「地球へ来る前、この世界の学生になじむため基礎は全て頭に叩き込みました。大学生レベルの問題までなら対応可能ですよ」
「教師にでもなるつもり?俺達まだ中学生なんだけど」
「永愛さん専属の家庭教師にならなりたいですね」
「却下。これでも五教科平均以上いってるから、俺でも渡辺さんに教えるのに不足はないと思う」