ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-
エモリエルは言った。
「ジョセフ司令官。あなたがかつて私の母を愛していたことは知っています。父の親友だったからこそ、その恋から身を引いたことも」
「……すまない。私は結局、自分が一番可愛かったのだ」
「人間誰しもそうですよ。あなたを責めるつもりはありません。それに、もう分かっています。私の両親はとうの昔に亡くなっていることを……。オーラの有無で真実を悟ってしまう自分の能力がつらかったし、私はその事実を受け入れたくなかった。あなたもそうだったのでしょう?ジョセフ司令官」
うなずくジョセフの目には、うっすら涙が浮かんでいる。
「最高司令官でありながらもっとも大切な人を守ることはできない、そんな無力な自分を責めた。彼らがどこかで生きていると思いたかったんだよ」
「私も同じです。でも、それも今日で終わりです。私の魂はようやく両親の魂と対面を果たすことができるのですから」
それから数週間後。夏休みが終わり、永愛にはいつもの日常が戻ってきた。
「学校行きたくないなぁ……。でも、友達がいるから心強い!うん!」
夏休み前に瑞穂と仲良くなってから、毎日が楽しかった。おまじないに頼りきりだった日々が昔のことのように、今は全くおまじないを使わない。
「なっちゃんとはもう友達に戻れないのかもしれないけど……。瑞穂君がいるから大丈夫!」
夏休み前に奈津や女子達と様々なトラブルがあったことを思い出し憂鬱な気持ちになったが、寸前のところで救われた。瑞穂からメールが来たからだ。
《公園で待ってる。一緒に学校行こ!》
新学期。いつもの公園で待ち合わせをし、瑞穂と一緒に学校へ行く。
見慣れた通学路を歩きながら、永愛は感じたことを口にした。
「……瑞穂君。私達って、はじめからこんな感じだったっけ?」
「夏休み入ってからほとんど毎日遊んでたでしょ。忘れた?」
「ううん!忘れてないよ。ただ……。私達以外にもう一人、誰か居たような気がして……」
「言われてみればそんな気がするけど、それっていなみのことじゃない?」
二人が校門をくぐろうとしていると、いなみが現れた。夏休み中、永愛が瑞穂の自宅で見た『瑞穂の彼女だと思っていた女子』だ。
いなみは、永愛の横に並んで微笑した。
「永愛、おはよ」
「おはよう、琴坂さんっ」
あれは、夏休み終盤のこと。無事地球に帰ってきた永愛は、瑞穂にいなみのことを紹介された。
『同じ学年だから顔くらいは知ってると思うけど、琴坂いなみ。いなみは俺の双子の妹。二卵性だから、他人から見ても最初はそうと分からないらしい。誤解される前に、ちゃんと言っておきたくて』